第28回 非侵襲的換気療法研究会

今日は午後1時から午後4時35分まで、リーガロイヤル大阪でありました。
久しぶりの参加です。昔は東京までも聞きに行きました。参加は医師だけではなく、看護師、理学療法士、臨床工学技師など色々な医療関係の方が参加します。ちなみに今回300人ほどの参加があり医師は3割あまりでした。
寺川和彦先生にお会いしました。少ししか話せませんでしたが、いつも穏やかな先生です。それとベルランド総合病院の小川未来先生にもお会いしました。ボクが外来で診ていた難治性喘息の方を長い間入院でお世話になりました。少ししかお話しできませんでしたが、またよろしくお願い申し上げます。
いつものことですが、この会では医師以外は熱心ですね。しっかりノートを取っていました。
感想を書いてみます。
まず、一般演題。
1)モニタリングを用いたiVAPS適応疾患と設定の最適化についての検討
NPPVも色々なモードが現れて、最も新しいモードがどんな疾患に適するのか調べたものです。
まず、iVAPSとは目標肺胞換気量を維持するためにPS(プレッシャーサポート)とバックアップ回数を自動的に調整する換気方法です。
演者の先生によりますと、Tモード適合例以外はiVAPSモードが認容性が高い傾向にあったとのことです。症例数が少ないので、今後も引き続き検討が要ると思われます。いい話です。
2)当院でiVAPSモードを使用した症例の検討18例の長期使用例で検討をしています。
3)気管支拡張症における慢性期NPPV結論から書きますと、気道分泌物の多い例では使用は大変難しいと思いました。事実NPPVのガイドラインでも気管支拡張症のNPPVの適応については記載がないとのこと。しかし演者の先生と会場からコメントした方の話しを総合すると、NPPVで痰や、血痰は減るとのこと。
やはり問題は排痰のことになるようです。2ヶ月間は効果があるとのこと。
4)呼吸器看護専門外来における在宅NPPV患者への機器モニタリングの活用これはナースの発表でした。なんてわかりやすいスライドか・・。これは患者さんのNPPVに対するアドヒアランスの向上に対してうまくいった症例が提示されていました。看護外来がうまく動いているとこうなるのですね。ログデータをうまく活用されていました。

後半の「日本におけるNPPV療法」
1)急性呼吸不全に対するNPPV
COPDの急性増悪でNPPVの使用が推奨される。(当然だと予想されます)また、IPFの増悪に対するNPPVは試みる価値はある??
他にはARDSでは、NPPVで挿管回避は約50%ぐらいで、VAPは0%とのこと。これもわかります。
2)慢性期COPDに対するNPPVこれは急性増悪ではなくてゆっくりCO2が貯まるタイプのCOPDに対して述べられています。今までも逆転してきたらNPPVと決めてやってきたがだいたいそのような話しでした。
3)神経疾患に対するNPPV小児科の先生のお話しで、非常に参考になった。各国の呼吸ケアガイドラインを取り上げて、たとえばデュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD)ではNPPVが推奨されていました。(アメリカCDC)他に、脊髄性筋萎縮症(SMA)、先天性筋ジストロフィー、先天性ミオパチーがNPPVが推奨されている。以上イギリス。同様にイギリスでALSはNPPVと機械による咳介助によるQOLと延命がコスト効果がよいと示唆されているようです。とにかくたくさん教えられました。
4)MPPV導入後のケア 〜退院から在宅まで〜経皮的CO2測定ができるのがいいですね。保険点数のお話。他にはあまり印象に残らなかった。

第5回大阪COPDフォーラム

2月27日に大阪のモントレグラスミアでありました。座長は和泉市立病院の松下晴彦先生でした。講演は3つありました。
1つ目は和泉市立病院の藤本𥶡樹先生の「アンケート結果の発表」がありました。そういえばかなり以前にCOPDに合併する喘息は何人ぐらい居ますかと言うような質問が10ばかりありました。それが発表されたのです。
2つ目は近畿中央胸部疾患センター川口知哉先生の「肺癌とCOPD」についてのお話でした。大変難しい内容でしたが面白かったです。
最後は特別講演で、高知大学医学部血液・呼吸器内科学の横山彰仁教授でした。
講演の前半は比較的簡単な内容で研修医向きかなと思っていたら、後半では気になることをお話ししていました。
1)非喫煙者COPDになるのは気管支喘息の方が多い。(ボクは非喫煙者COPDは1例しか経験がない)
2)COPDの患者さんの年間FEV1.0の低下は30mlぐらい。
3)FEV1.0の低下の速度を増加させる因子として
  ①タバコ
  ②可逆性の存在(意外・・・)
4)COPDの患者の4割ぐらいが可逆性がある。しかしいつも同じ人物ではない。
5)GOLDのガイドラインではCOPDの可逆性を論じるのは無意味と言っている。
6)気管支喘息COPDも可逆性があってもいい、好酸球が多くてもいい、アトピー素因があってもいい。
後半はとてもいい勉強になりました。
  

第7回びまん性肺疾患フォーラム

今日は昨日と同じ梅田の「ブリーゼプラザ」でした。本日のテーマは「喫煙関連肺疾患」でした。3:00−8:30と言う長時間の講演会でした。パイプイスがつめつめでした。テーブルもなくメモもとりにくい環境でした。紙パックのジュースとサンドイッチをいただきましたが、置く場所もなく食べるにも一苦労でした。

特別講演のその一、「肺小葉〜L.Reid、松本武四郎が呼吸器画像診断にえたImpact〜」伊藤春海先生でした。
非常に基本的なお話なんですがなかなか説得力がありました。肺胞壁の奥の壁は反対側から見た肺胞の奥の壁と共有されていて、それは2重になっていないと言うことです。そこまでは考えたことがなかったですね。細葉単位の考え方について再認識。

次の特別講演は「喫煙関連肺疾患の病理像」武村民子先生でした。
これを聴く頃から疲れができていました。つめつめに座っているためほとんど身動きもできませんから・・・。後半に上甲先生の講演も聴きたかったのですが、あきらめて帰ることにしました。
会場費は2000円とこの手の講演としては高い方かも知れないです。しかしこんな環境では落ち着いて聴けません。今日は無駄な一日だったかも知れないです。
メモが取れていないので、ここに書くようなこともあまりないです。

呼吸器専門医のためのとことんセミナー

12/20初回の会に参加してきました。主催は杏林製薬でした。
場所は梅田の「ブリーゼプラザ」です。
特別講演は東京医科歯科大の稲瀬直彦先生の「過敏性肺炎の臨床」でした。
講演内容を少しまとめてみます。
#いろいろある過敏性肺炎(以下HP)のうち今日は夏型と鳥関連の2つに絞って講演。
#夏型の患者を自宅に帰すと約6時間後に発熱や呼吸困難が出現。
#鳥抗原については交差反応があり鳩もオームも共通。糞も羽毛もにもその抗原は含まれる。
#慢性過敏性肺炎(CHP)は再燃症状軽減型(夏型に多い)と潜在性発症型(鳥関連が多い)
#再燃症状軽減型は毎年同じ頃に症状が出現するが、年々症状は軽くなるが、線維化は進む。
#潜在性発症型はほとんど症状がない状態から症状が出てきたときには線維化は進行している。
#病理はOP,c-NSIP、f-NSIP、UIPの4つのパターンがある。①胸膜直下のfibrosis②気道中心部のfibrosis③リンパ濾胞④コレステリン結晶
#画像上の特徴は上葉にも間質影があるが、半端なもので左右差もある
#CHPの診断では鳥特異抗体(イムノキャップ法)慢性では感度低い。しかも保険がきかない。鳩IgG、鳩IgM、インコIgG、インコIgMなどあるが共通抗原であるので一つ鳩IgGを測ればよい。
#抗原回避の入院時はAaDO2、KL-6、WBCを見る。ただし入院時には病院が羽毛布団なら改善しない。
#東京医科歯科大ではCHPの61%が鳥関連、10%が夏型、住居関連が10%
#鳥関連の多くは自宅で鳥を飼っていなくて、隣家の鳥、野鳥、羽毛布団が多い。
#羽毛布団によるHPをFeather duvet lung
#急性のHPではKL-6は3000-6000になることもある。KL-6が高値ならHPを考える。
#KL-6の季節変動は参考になる。冬場はダウンや羽毛布団の使用が多くなる。
#東京医科歯科大では間質性肺炎の1/3がCHPだった。
#CCL17(TARC)が高い人は急性増悪を起こしやすい。
#CHPの予後はUIPパターンで予後不良
#原因抗原がわからない場合は回避ができないからか、予後は悪い。
#鳥関連は近くの道路やクルマの上に鳥の糞があれば疑わしい。鶏糞肥料の使用の有無も大切。
#夏型はリフォームなどで改善する。
#CHPにピルフェニドンは無効、ネオーラルは有効。

以上が印象に残ったところです。内容を絞っているので、内容は深かったと思います。

関西呼吸器感染症懇話会

11/15にありました。ここに書き込むのが遅くなりました。この会には久しぶりに参加しました。
今日は30回記念と言うことで2つの特別講演がありました。19:00-20:45が伸びて終わったのは21:30頃でした。
一つ目は演者は筑波大学附属病院 ひたちなか社会連携研究教育センター教授の寺本信嗣先生の「誤嚥性肺炎の治療について」です。
#VFで異常がなくても肺炎は起こるし、誤嚥は起こっている。
#夜間の不顕性誤嚥の検査は基本的に不可能。
#口腔内のmicro aspirationはcommon。
誤嚥性肺炎は嚥下障害+α(眠剤とかインフルエンザ)
誤嚥はしているが肺炎にならない人もいる。
#嚥下リハは予防効果はない。口腔エアがいい。
#胃瘻を造設しても肺炎は起こる。ガスモチンの投与で死亡が減る。
#ACE阻害剤で肺炎死亡は1/3になる。アジア人にはよく効く。
#プレタールは脳梗塞後の肺炎を減らす。
#年をとったら眠剤は減らすべし。
#胃切除後の肺炎は多発性・末梢性。
もう一つの特別講演は大阪市大の臨床感染制御学 准教授である掛屋弘准教授で演題は「肺アスペルギルス用の診断と治療」サブタイトルに「したたかなアスペルギルスとどう戦うか」とありました。印象に残った分だけ書き残します。
#多くの人は毎日数百以上のアスペルギルスを吸い込んでいる。
#ABPA−aspergilloma−CPAIPA
#A.fumigatusの形態的な分類には限界がある。遺伝子情報での分類になる?
#ガラクトマンナン抗原は早期診断に有効。
#          aspergilloma CPA IPA
抗アスペルギルス沈降抗体 +        +/− +/−
ラクトマンナン抗原 −     +/−   +/−
β-Dグルカン −        +/− +

後半の講演は耐性化のメカニズムでしたが、難しすぎてわかっていた人は少なかったのではないでしょうか。抗真菌剤についてもいろいろ聞きましたが、メモがなくなっていました。紛失しました。

北大阪間質性肺疾患研究会

11/8です。毎回この会は参加するようにしています。非常に勉強になるからです。今日は二つの特別講演がありました。
その一つは「特発性間質性肺炎をどう診るべきか」で講師は広島大学の服部登先生でした。もう一つは「特発性間質性肺炎(IIPs)の病理診断の変遷」で講師は近畿中央胸部疾患センターの北市正則先生です。北市先生は昨日の大阪市大の講演会にも参加されていました。
間質性肺炎の病理のことは難しいので、そこまで勉強する気は昔からなかったのですが、服部先生の講演は勉強になりました。
#特発性間質性肺炎と鑑別が難しいのは、膠原病と過敏性肺炎であると。
#UCTDとかAIF-ILDとかLung-Dominant CTD
#慢性過敏性肺炎の中でも潜在性進行型、潜在性発症型はIIPsとの鑑別が難しい。
#HRCTでのUIPパターンの非典型例が大切、それで否定できる?
DIP、RB-ILDは喫煙関連の間質性肺炎として多くなっている。
#IIPsの新しいclassification。7→6+2。2はRareIIPs。
#NSIPは膠原病に多いが、特発性NSIPは「膠原病もどき」に多い→特発性NSIP
#Cellular NSIPにはステロイド剤の単独使用で5年生存率100%。
#Fibrotic NSIPはステロイド免疫抑制剤の併用で5年生存率40-90%。

第9回CLINICAL RESPIRATORY CONFERENCE

11/7にスイスホテルで呼吸器疾患の研究会がありました。今回のメインテーマはCPFEでした。特別講演は埼玉医科大学の金澤實教授でした。
#45-80歳のSmokerの8%に間質影が認められる。約50%がCOPDのstageⅠ以上である。
#CPFEは上肺野の肺気腫と下肺野の線維化(NSIP?)
#CPFEの全例に、重喫煙者、DLcoの低下、A-aDO2の上昇、肺高血圧症が見られるとのこと。
#体動時の呼吸困難が臨床的特徴。
気胸、縦隔気腫の合併が多い。
予後不良因子:小葉中心性肺気腫(CLE)なし>SIRSあり>PCT上昇
その他、いろいろなお話が聞けました。大変勉強になりました。