第15回大阪呼吸器診療ネットワーク

この会は大阪市大の呼吸器グループのみではなく、一般の開業医の先生方にも開放されている会です。今回は一般演題が1つと特別講演が1つありました。
参加人数は70-80人といったところです。
【一般演題】『気管支喘息に関する最新の話題〜薬物療法とBronchial thermoplasty〜』演者は大阪市立大学の病院講師の宇治正人先生でした。ボクは宇治先生とはベルランド総合病院でごく短い間一緒に仕事をしたことがあります。

内容はレベルの高いものでした。特にBronchial thermoplasty(以下BT)は内服や吸入でコントロールできない喘息患者さんに対して行う施術です。
BTは気管支鏡を用いた治療法です。気管支鏡に電極付きのカテーテルを挿入し、高周波電流にて65℃で10秒間気管支壁を温めることで、喘息の原因となる肥厚した気道平滑筋の量を健常人に近付け、気管支の収縮を抑制し、発作を起きにくくするというものです。
治療は気管支を3つのブロックに分けて行われ、それぞれ約3週間空けて実施される。所要時間は1回あたり約1時間で、1〜2泊の短期入院で行われる。BT施行後は、治療前と同じ喘息治療薬を継続するが、症状によっては減量を考慮することもできるらいしです。
もちろん始められたばかりの治療法であって長期的な予後については検討されるのはこれからだと思います。
重症の気管支喘息の患者さんがいたら、市大の宇治先生に紹介すればいいので助かるよ。

【特別講演】『COPDを含めた慢性気疾患の管理においての細菌感染症の重要性』
演者は産業医科大学の呼吸器内科教授の迎 寛先生です。

内容はほとんどが呼吸器感染症のお話でした。非常に勉強になりました。

# COPDの増悪の原因の20%は大気汚染、80%は感染

# CAMはウイルスの上皮細胞への付着を阻止する作用を持っている

# COPDの急性増悪時はβラクタム剤よりLVFXがはるかに有効

# 16SリボゾームRNAを用いた網羅的細菌叢解析の紹介がありました

# 上記の方法は一般病院院で使えるようにはならないとのことですが、研究レベルでは大変役に立つ

# 上記の方法で調べると肺炎の15%は嫌気性菌であった!!

# 慢性呼吸器疾患を持つ患者さんには、第一にクラビットなどのレスピラトリーキノロン次にジスロマックSRとのこと

# 生体側の病原微生物に対する自然免疫の一つとして存在する抗菌ペプチドの中でもディ フェンシンについて詳しい解説がありました。

# ディフェンシンは好中球に存在するα−ディフェンシン、上皮に存在するβ-ディフェンシンがある

# マクロライドはバイオフイルムを破壊する

# マクロライドは気道分泌も抑制する

# スモーカーやCOPDの患者はディフェンシンが出なくなる

# 「グレリン」は胃の内分泌細胞や視床下部で作られ、食欲をあげ、炎症を抑える

# COPDの患者にグレリンを投与すると6分間歩行が上昇し、喀痰が減る

# アジスロマイシンはマクロライド全体の耐性につながる可能性がある

以上です。聞きのがしたところや間違って聞いたところがあるかも知れません。間違いがあればボクの責任です。

講演後の懇親会では、寺川先生、高村先生、藤井先生などとお話ししました。藤井先生からは鉄道病院の泉先生を紹介していただきました。