呼吸器専門医のためのとことんセミナー

12/20初回の会に参加してきました。主催は杏林製薬でした。
場所は梅田の「ブリーゼプラザ」です。
特別講演は東京医科歯科大の稲瀬直彦先生の「過敏性肺炎の臨床」でした。
講演内容を少しまとめてみます。
#いろいろある過敏性肺炎(以下HP)のうち今日は夏型と鳥関連の2つに絞って講演。
#夏型の患者を自宅に帰すと約6時間後に発熱や呼吸困難が出現。
#鳥抗原については交差反応があり鳩もオームも共通。糞も羽毛もにもその抗原は含まれる。
#慢性過敏性肺炎(CHP)は再燃症状軽減型(夏型に多い)と潜在性発症型(鳥関連が多い)
#再燃症状軽減型は毎年同じ頃に症状が出現するが、年々症状は軽くなるが、線維化は進む。
#潜在性発症型はほとんど症状がない状態から症状が出てきたときには線維化は進行している。
#病理はOP,c-NSIP、f-NSIP、UIPの4つのパターンがある。①胸膜直下のfibrosis②気道中心部のfibrosis③リンパ濾胞④コレステリン結晶
#画像上の特徴は上葉にも間質影があるが、半端なもので左右差もある
#CHPの診断では鳥特異抗体(イムノキャップ法)慢性では感度低い。しかも保険がきかない。鳩IgG、鳩IgM、インコIgG、インコIgMなどあるが共通抗原であるので一つ鳩IgGを測ればよい。
#抗原回避の入院時はAaDO2、KL-6、WBCを見る。ただし入院時には病院が羽毛布団なら改善しない。
#東京医科歯科大ではCHPの61%が鳥関連、10%が夏型、住居関連が10%
#鳥関連の多くは自宅で鳥を飼っていなくて、隣家の鳥、野鳥、羽毛布団が多い。
#羽毛布団によるHPをFeather duvet lung
#急性のHPではKL-6は3000-6000になることもある。KL-6が高値ならHPを考える。
#KL-6の季節変動は参考になる。冬場はダウンや羽毛布団の使用が多くなる。
#東京医科歯科大では間質性肺炎の1/3がCHPだった。
#CCL17(TARC)が高い人は急性増悪を起こしやすい。
#CHPの予後はUIPパターンで予後不良
#原因抗原がわからない場合は回避ができないからか、予後は悪い。
#鳥関連は近くの道路やクルマの上に鳥の糞があれば疑わしい。鶏糞肥料の使用の有無も大切。
#夏型はリフォームなどで改善する。
#CHPにピルフェニドンは無効、ネオーラルは有効。

以上が印象に残ったところです。内容を絞っているので、内容は深かったと思います。