第2回呼吸器専門医のためのとことんセミナー

前回は昨年の12/20で梅田周辺はクリスマスの雰囲気でした。今回は11/7でしたから、まだまだ仕事帰りの方が週末を楽しんでいました。
主催は杏林製薬です。
特別講演は名古屋市立大学の伊藤穣先生の「非結核性抗酸菌症の最近の知見」でした。
ボク達も最近は結核は減少傾向であり、非結核性抗酸菌症(=NTM)が増加している感覚でいたので、何とか聞きに行きたいと思っていました。会場は昨年同様梅田の「ブリーゼプラザ」でした。
講演内容をメモができた範囲でまとめてみます。
胃液の培養の有用性は証明されていない。またコロナリゼーションも証明されていない。
MACに関してはMACの細胞膜に特異的に存在するglycopeptidolipidを用いたキャピリアMAC抗体が使用できる。
感度は83%、特異度100%
M.kansasiiに関しては、男性で喫煙者に多く、T-spot,QFTで陽性になることがある。
M.abscessusは増加傾向。治療はCAM,IPM/CS,AMKなどを使用するが、有効な経口薬はない。難治性で菌陰性化率は48%と半分以下。
疫学 日本では発生は 5.9人/10万人  東にavium、西にintracellulareが多い。
2013年では TB:NTM=2:8の発症
MACと共感染 MSSA、緑膿菌、アスペルギルスが多い。
COPDのM.intracellulareの患者さんで慢性共感染が多い。
MACの予後: 10年で10%が死亡。空洞があれば10年で40%が死亡。
1/3の症例は自然に菌陰性かすることがある。空洞・浸潤影が生命予後に悪い影響を与える。
治療が奏効する指標
①CAMに対する感受性がある
②初回治療である。
③CAMを600mg以上使用
④SMを追加してる
⑤EBを使用
⑥空洞なし
⑦塗沫陰性化
症例の1/3が治療脱落 クスリの副作用で。ただしEB+CAMで非劣性。CAMとAZMで効果同等。(AZMは500mg 3/週)
結節・拡張症のMACで治療後48%で再排菌あり。再発者の75%は新たな菌での感染。25%は同じ菌での感染。
ニューキノロンMACでは  MFLX>GFLX>LVFXの順番でMIC低い
COPDの吸入ステロイドはNTMのriskを上げる。
MACが分離されるのは 自然水、飲料水、浴室、シャワー、排水溝、土壤など
患者宅のシャワーヘッドから同じ菌が見つかることあり。
土壤からは多くの菌がでる。土壤曝露はMACの発症リスクを上げる。(庭いじり・ガーデニングはよくない)
MAC患者の庭土や鉢の土などの50%から同じ菌を分離。
居住土壤の高頻度曝露は感染源となりうる。しかし 宿主要因>>環境要因
MACでは菌陰性となってもしばしば再発。8.3-30.0%
MAC治療180例のうち53例にM.abscessus subspを認めている。(新たな菌による再感染)
MAC症の治療成功率は51.4%、再発率は20.8%。成功例は土壤の曝露が少なかった。
今回の講演での大きなポイントは「土壤曝露」だった気がします。