少年時代(その3)

小学3年生ぐらいのことです。ボクは神戸に住んでしました。神戸は山も海も近くて、遊ぶのには便利でした。ある夏休みのことでした。近所のショウちゃんとカニを取りに出かけました。カニと言っても食べられるようなカニでなく、港の岸壁などにたくさんいました。そこに行くまで1Photo
時間ほど歩いてゆきます。何度も行っているので、道はよくわかっています。今でもあると思うのですが、和田岬というところまで行きます。当時は神戸港の水はきれいで水面を泳ぐサヨリなどはよく見えましたし、岸壁にはカラスガイがびっしり着いていました。
ボク達は所々で釣りをしている人の邪魔にならないように、離れた場所で寝転んで岸壁から海の方に顔を出してカニを探し、見つけたらソーッと網を入れるのです。そんな風にカニをたくさんとり、気がつくとあたりは薄暗くなっていました。
時計がなかったのでわかりませんが、夏休みですから多分7時過ぎになっていたのではないでしょうか・・。ボク達はカニをとりつかれて、二人で港の倉庫にもたれて休んでいるうちに寝てしましました。
そんな頃、自宅や近所では大騒ぎになっていました。ボクとショウちゃんがいないと言うことで近所の人たちが手分けして探していたようです。
しかし近所の子供達の中で網とバケツを持って海の方に向かうボク達を見た人がいて、何人かがボク達より年上の子供達にカニ取りの場所を聞いて、大人の男の人たちが自転車で、和田岬や第○突堤などを探してくれたようです。そしてボク達は手をつないで帰りかけていたところを見つかりました。
母親は泣いていました。これが親不孝のはじまりでした。