第32回 関西呼吸器感染症懇話会

11/14、ホテルグランビア大阪でありました。共催は第一三共株式会社でした。
一般演題が一つ、特別講演が一つでした。
(Ⅰ)まず一般演題は
「高齢者におけるインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの肺炎予防効果:症例対照研究」 川崎医科大学の宮下修行先生です。
記憶すべき内容をメモしました。
#インフルエンザ感染後の肺炎のうち50%以上が肺炎球菌である。
#肺炎球菌のワクチンは2種類あり、今厚労省が60歳以上での定期接種を勧めているのは、ニューモバックスNPである。
最近出てきたものにプレベナー13がある。抗体ができること、メモリーすることができるプレベナー13が優れている。ニューモバックスはなくなる運命。さらに、5年後にはMSDもファイザーも新しい肺炎球菌のワクチンを発売する予定である。
演者はニューモバックスはプレベナー13より劣っているとは断言はしていませんでしたが・・・。
#まだ途中のデータ解析ではインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用では肺炎感染を抑制している。
 肺炎球菌単独では効果はわずか。
(Ⅱ)「話題の感染症〜インフルエンザ、エボラ出血熱デング熱防衛医科大学校 川名明彦先生です。
【インフルエンザ】
#内科学会11月号に「感染症」の特集があるとのこと。
国立感染症研究所のホームページで感染の状況がほぼリアルタイムでわかる。
#インフルエンザの予防効果

  • 65歳未満  70-90%
  • 18-65歳  73%
  • 1-15歳  77-91%
  • 0.5-2歳  40%
  • 2-5歳   40%

#治療薬の選択

#耐性はそれほど多くなく、タミフルリレンザで1-4%
#話題の「アビガン」は平成26年3月に製造承認を取った。
 しかし、使えるのは新型インフルエンザで、国の判断で使えるようになる。
 それは催奇形性があるから。
#トリインフルエンザ H5N1
 感染は年々減少傾向、ベトナムインドネシア→エジプト→カンボジア 致死率 60%
#トリインフルエンザ H7N9
 昨年(2013年)中国ではじめて発生、今年も発生
 致死率はH5N1ほど高くなくて30%程度であるが、このウイルスは人間に親和性が高く、pandemic potentialが高い。
#「新型インフルエンザのガイドライン厚生労働省のホームページにある。
デング熱
#今年は渡航歴のなかった人がかかった。158人
#日本におけるデング熱の分布 青森以南にはヒトスジシマカが生息できる。
無症候性感染 50-80%#症状 発熱(ほぼ100%)、頭痛、眼窩痛、関節痛、筋肉痛、ターニケットテスト(+)(駆血帯を巻くと末梢に点状出血)
#検査データ WBC(↓)、Plt(↓)
#皮疹 非特異的であるが、典型的なものはびまん性に赤いところに島状に白いところ(健常なところ)がある。
エボラ出血熱
#出血はそれほど多くはない。致死率は 37-61%
#コウモリが自然宿主 フィロウイルス(フィラメントのフィ)エボラウイルス属、マールブルグ属・・。
 エボラウイルス属には5つのサブタイプがある。Zaire(致死率60-90%)、Sudan(40-60%)・・・
エボラウイルスの怖さは細胞指向性が広範であること。傷口、食事、など色々な進入の仕方をもつ。さらに肝細胞に行けば、凝固因子の製造が落ちる。
#死因はショック、多臓器不全など
#エボラに感染後5日以内ぐらいならアビガンが著効する!!症状が出てからなら予後不良